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社会保険労務士法人 礎

  社会保険労務士法人礎のブログ

Up 'Gainst The Wall

りんご

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食べ物の好き嫌いは「悪」と育てられた私はほとんど好き嫌いがない。もちろん苦手な食べ物はあったのだが、残すことは許されず、なんでも美味しく食べることが正義だった時代、残すと食卓から解放されず、頑張って残さず食べて好き嫌いを克服してきた。ところがこの昭和の美学を貫きつつ、それでも克服できなかった食材がある・・・りんごだ。いや正確に言うとりんごの音がダメなのだ。りんごの皮を剥く音、りんごをかじる音・・・これが苦手だ。逆に言うと味は大好きだ。匂いなどは最高だ。りんごジュース、アップルパイ など大好きなのだが、生のりんごの音が受け入れられない。どういうことかというと、黒板やガラスを爪で擦る音と同じに聞こえてしまうのだ。つまり、「その音」が聞こえると鳥肌が立ってしまう。こんな悲劇があるだろうか・・・味が好きなのに音がダメとは・・・。生のリンゴを食べたのは小学校4年生くらいの時が最後だったと記憶している。音というのは恐ろしいもので、高校生くらいになると梨までその影響を受けるようになってしまい、りんごに加え梨が食べられなくなった。こんな理由でりんごが食べられない人はなかなかいないと思うのだが、昔演歌歌手の川中美幸さんがラジオで同じことを言っていた・・・・こんな人、他にいたのか!と嬉しくなったのを覚えている。

数年前、妻とニューヨークを旅した折、ニュージャージーに住む友人ファミリーに会ってきた。その友人と時間をかけて話をするのは数十年ぶりだったのだが、どういう流れか私のりんご嫌いの話になった。そしたら彼が、「お前のりんごのかじる音が黒板を引っ掻く音に聞こえるという話を聞いて、俺も想像しちゃってりんご食えなくなったよ!」と言い出した。私は共感できるので嬉しいが、彼は間違いなく被害者だ。彼の場合は、まだ梨は大丈夫ということなので軽傷に過ぎない。しかし、りんごが店先に並ぶこの季節になると、彼と私はこの話を周囲に拡散し、「りんごの音嫌い族」を増殖していく・・・・しかし、ほとんどの場合、「変わってるね・・・」の一言で終わってしまい、ドラキュラの牙は効かない・・・牙の怖さのないドラキュラなどただの変な人だ。